平成17年7月15日。
 
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実家が全国的に有名な花火大会のベストポイントにも関わらず、
「混むから」という理由でなかなか帰宅しない放蕩子供なかえるです。
こんばんは。

ジジジ と、怒っているのだか唸っているのだか、
それとも、そのうち居なくなる事をわかって祈っているのだか、
イマイチ良く分からない線香花火。

どうも、しゅーっと勢い良く火花が飛び散る花火が苦手だった為、
小さい頃から花火は線香花火のみの参加で生きて行きました。

その代わり、まるで代償行為のように大好きだったのが打ち上げ花火。

ディズニーランドの夏の花火から始まって、墨田の花火大会、
入っていたサークルで山の中までいって花火大会と、
安全な距離から見る、低い花火と薄く流れてくる焼けた火薬の匂い。

夏の蒸し暑さの匂いとあいまって、それはそれは「夏の一コマ」として
記憶しやすい、独特の匂いだったなぁとうっとりしてきました。

ところが、毎冬の行事だった「冬は熱海で温まろうの会」に家族で行ったとき、
真冬の海で行われていた花火大会に、かえる、心底びっくりしました。

どう考えても花火は夏のもので、冬のものではなかったからです。

でも、海の上で打ち上げられる花火はきっと見ものです。
うっとりものには違い有りません。

そう家族全員で考えて、真冬の海岸で震えながら時間を待ち、
そうして見上げた冬の花火。

雲ひとつ無い真っ暗な空に、次々と上がる赤や金の大輪の花火は、
それはそれは美しく、また海のひんやりとした匂いと焼けた火薬の匂いというのも、
「夏の匂い」とは違うかおりをかもし出すものなのだ…と、幼心にもどきどきした記憶があるのです。


花火の色なのか匂いなのか良く分からない、「花火」という記憶。

こんな特異な記憶があるおかげで、混雑した花火というのはイマイチ興が乗り切らず、
延々と不参加で通してきたのですが、ここ数年たった一つだけ必ず見ている花火大会があります。

何故か調べても出てこない花火大会なのですが、この時期になると8時過ぎから1時間ほど、
ローカルな花火大会の花火が見えるのです。

部屋の明かりという明かりを消し、ベッドの上からぼんやりと座ってみる一人花火大会。


あのときのように、蒸し暑い夏と火薬の焼けた甘いような匂いはしませんし、
上から花火がふってくるのでは? と怯えたような近い距離でもありませんが、
それでも、一匹邪魔されずにほつほつと見ることが出来る花火は、やはり良いものなのです。


今年で見納めなのが、少し寂しい気がする一人花火大会でした。
ほつほつ。
      
 
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