平成19年3月3日。
 
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紙一枚よりもまだ薄い、砂糖の上かけとは対照的に、すぐに消えてしまうほどの軽さの中身。
季節のお菓子は数あれど、あれほどかえるの好みなのはないのでは?
などと、毎回毎回うっとりと魅入ってしまうかえるです。
こんばんは。


白やピンク、時折緑や黄色がほのかに混じる丸い玉。

豆皿に盛っても、懐紙に包んで持ち歩いても、紙一枚の固さのせいで、
かさかさと音を立ててその場に居てくれるひなあられ。

ぼんやりと見ているうちは結構な固さに見えるのに、口に入れると、
口の中の湿度であっという間にへにょへにょになってしまうのも大好きでたまらず、
延々と食べ続けて一袋食べきるということもしばしば。


材料の甘さでなければ、さほど大量に食べられなくなって久しいにもかかわらず、
それでも、お店で大量に並べられたら食べたくてたまらずに、うっとりとお店で見上げるひなあられ。

けれども、欲しいものの常で、あんな小さなお菓子でさえ、なかなか手が出せずに悶え苦しむのです。


ああ、食べたい。あと、可愛い。


などと、今年もあのピンクの華やかさと白のつつしましやかにメロメロになっていたところ、
あっという間に3月3日を迎えてしまいました。



閑話休題。


世の中、季節のものというのは「その日」までは恐ろしい勢いで出回るものです。
ひな祭りで言えば、おおぶりのハマグリに、チラシ寿司の材料各種。
菱餅、白酒、桜餅に、ひなあられ。

ひな祭りの音楽はかかるし、店頭には桃や菜の花が飾られる。
そんな全力で「祝え!」といわんばかりの飾られ方にも関わらず、
その日が終わってしまったならば、「あ、それ、終わったから」と言わんばかりの冷たさ。

次の日には、あれだけいい場所に置かれていた「その日の為の材料」は姿を消してしまい、
来年になるまで、姿を見かけることは無いのが、季節のものの宿命。


好きで好きでたまらず、毎日お夕飯の材料を買いに行くたびに「買ってもいいかなぁ…」と、
うっとり見上げていたひなあられの本種(小さいの)と、風船(丸くて可愛い奴)。


これだけ欲しいのであれば、迷わず買って次の日のお茶請けにしてしまえばよかったのですが、
頂き物のお菓子でいっぱいになっており、お八つ消化週間だったのが悪運の開始でした。


賞味期限が長いのだから、かえる一匹でももしもしと食べるのだから、
こっそりと籠に入れてしまえばよかったんです。

「ほら、当日に買えば勢いがつくよ…」と、昨日自分に言い訳などせずに、
笑顔のままレジに並んでしまえば、本当に、良かったのです。


夕方、「今晩は、チラシ寿司にハマグリのお吸い物、菱餅に雛あられー」と、
浮かれ踊りながら帰宅しようかとおもった途端、お夕飯どころかその日に帰宅出来ない程、
大変な用事が降ってくるなんて、夢にも思わなかったんです。

ああ、悪運は知らない間に育っておりました。

笑顔で受け取り、涙目で処理。
どうにか帰宅できた頃には、デパートのひな祭りコーナーどころか、スーパー、
深夜までやっている大型スーパーまで見事に閉店した後でした。


次の日、一縷の望みを込めてお店を覗いてみたところ、ものの見事に撲滅活動。
かえるの大好きで大好きでたまらない、本種とふうせんと、黒豆の炊いた奴のあわせ技など、
存在しないかのように、違うお菓子が並んでおりました。


日本の華やかな伝統行事、大好きですし、
ハレの日がおわってしまうと、あっという間にケの日になってしまう潔さも素晴らしいと思います。



けれども、その生活概念を突き進んだまま経済発達を続けるのであれば、
せめて、温室の苺のように、ちょっとでも残して欲しくてたまりませんでした。


ピンクと白で、ふわふわしてかりかりして、ほのかな甘味を残して消えるひなあられ。
今年はそもそも、イベントそのものからお断りされた気がしてたまりません。


よよよよよよ。
      
 
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