平成25年8月11日。
 
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8月2週

夏でした。


大概夏というと、暑かったり、日傘さしたり、水分とりとり歩いたり、夏バテでぐったりするのが
かえるのなかでのお約束ですが、今年は違いました。


夏というか、地獄でした。

あまりの暑さに、電子機器の「今ここ」が2丁目やら3丁目やらと地獄の住所を表示しはじめたり、
救急搬送のサイレンの音が何日も鳴りやまなかったり、
例年の最高気温が夜中の最低気温になったりと、それはもう、予想した事のない地獄でした。


生きているうちに地獄に行くなんて、そう滅多にある事ではありません。
人間のひ弱な体で体験したことは、せめてメモにして後世につたえておこう!
それは、この地獄で生き延びた中での、せめて何か出来ることである!
などと、思考なんて出来ない暑さの中で考えておりました。


「多分今日救急搬送されちゃうんじゃないか…」とおびえつつなんとか過ぎたこの小休止の今日、
再度地獄に連れ込まれる前に、せめてメモでも残しておこうと思うのです。


というわけで、室内気温32度。


あつい。
手持ちの氷枕がぬるくなったら、あっさりと命の危険を感じて目が覚めます。
ここでうっかり2度寝したら最後、冗談でも何でもなく救急車の出番です。
寝る時には枕元に水筒と、ストローを刺したコップが最重要でした。



室内温度34度。

自分が湿度の発生源。
「スチームサウナでないと、汗かかないわー」などと、のんきな事を言っている場合ではありません。
出来うる限り大人しくしていても、服を着ていようとも着ていまいとも汗がじんわりと出てきます。
正直、なんでこんな所に居るのだろうか? と滞在理由を誰かに問いたくなりますが、
日本語があやしくなるので滞在しない方を選んだほうが得策です。



室内温度36度。

自分自身が滝。
汗かきやすい/汗かきにくい という体質を越えて、汗がじゃばーっと溢れ出てきます。
長時間運動した後のようだ!という感動を越えて、「このまま汗が出続けたら死ぬんじゃないかな」の
死が割合と身近かつ、現実的にあらわれてきます。
きっと、汗が止まった瞬間が倒れる瞬間だと思われます。


室内温度38度。

いっそ寒い。
背中の芯からちょっと外れたあたりから、そこはかとないひんやり感が漂いました。
丁度風邪の引きはじめのような、うすら寒くて毛布か何かを被りたい気持ちと、
「それ、絶対おかしいよ」という常識の訴えが両立するという、なんとも摩訶不思議な感じでした。
音で例えるならば、可聴音域のちょっと外で何かすっごい訴えている感じです。

こうなると、自分の体感は全く役に立たない事がわかりました。
毛布にくるまりたくてたまりませんが、温度計は38度です。
ムリ。本当にムリ。


無事離脱した後のあの体調の悪さは、当分味わいたくないほど独特な脱力感でした。



夏でした。

そして、まだもう少し間は残暑も続くと思われます。
ムリ・無茶・無謀 は、体力がある上で可能な若い人独特の持ち物です。

全力で体力を奪われた後の大人がするものではありません。

「命大事に」
本当に大事なコマンドだと思います。



もうむり!
      
 
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