平成26年4月20日。
 
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4月3週。

どこから書こうと、ずっと悩んでおりました。

ずっと同じ場所に居続けると、良い縁に恵まれる事があります。

一度で終わる物であったり、長くお付き合いできたりと、
とにかく様々な縁がありますが、こうなってくると次の悩みが、
「いかに黙っておくか?」になってきます。

自慢できるほど強い縁ではないけれど、それでも誰かに伝えたくなる。
そんな微妙な気持ちを、お腹にいかにしまえるか。

稀にはみ出しては大目玉をくらったり、夜中に消化不良を起こして寝込んだりと、
縁との対処を実施訓練しておりましたが、そんな中でも色鮮やか過ぎて
例えて言うならマシンガンみたいな方がいらっしゃいました。

初めては、読者と作者との関係です。

一行目から引き込まれは翻弄され、「次はどうなるの!?」と続きの亡者となりました。
少ないお小遣いを何カ月分も貯めては、少しづつ買い集め、
読みふけっては、その世界にぼうっとしておりました。

読むたびに、美しい世界の端にふれられたような気がして、
何回も何回も読み直しました。



次は、成人式の着物に困った時でした。
着物の知識が無いのでほとほと困っていた時に、「知り合い詳しいよ!」と
着物を貸してもらいに行った先でお会いいたしました。

中二階の入り口を入ると、小さくて笑顔の方が出迎えてくれました。
「こうなんですけど」と説明する暇も、「そうなんですか。」と相槌を打つ暇もなく、
あのマシンガントークに流されていたら、全てが決まってしまっておりました。
びっくりしました。


着物なんて、染めか刺繍ぐらいか知らない時に初めて借りた、手描きの着物。
美しいと感動すると共に、「汚したら、人生終わるのではないか…」と、
ほとほとと途方に暮れた記憶があります。

それからは、季節の折りに、「ポイントカードがたまったからピザ食べよう!」
「贈り物でいただいたけど、甘いの食べられないから持って帰って!」と、
マシンガントークと共に、主に美味しい思いばかりさせていただきました。

大変マイペースな方です。
けれども、巻き込まれている間は「ぽかーん」とただ巻き込まれ、
帰宅後しばらくしてから、「こういう意図だったのかなぁ?」と、考えたりするような、
大変不思議な空間を作る方でもありました。

そして、なにより、大変美しい世界を作る方でした。

色んな事を言われて腹が立った直後でも、文章はケチのつけようがない美しさでした。
何度読み返しても、美しさに魅了され、話の筋に翻弄され、
読後に思い返しては、自分の人生や考え方を改めて考えささせるような、
何重もの意図を込める文章を書く方でした。


作家としての氷室冴子さん。そして、個人としての氷室さん。
なぜか袖振り合うよりも、もう少しだけ縁がありましたので、
年に1度、「氷室冴子さんを偲ぶ会」お茶くみ係として参加しております。


大概、皆さん大笑いして御帰りになられますので、
楽しい会になっております。


縁、ありましたらどうぞ。
      
 
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