8月1週。
「終了」という号令がかかり、
ほーっと、周囲の筋肉が弛緩する音を耳にしたその瞬間、
テストが終わりました。
あまりに甘美な言葉なので、もう一度書いてみます。
テスト、終わりました。
回答用紙から手を離してしまえば、そこからは夏休みの時間です。
今まで全てのモノを後回しにし、ひたすらまとめにまとめ、
覚えに覚えた事柄ともおさらばです。
じわじわと湧き上がってくる「今からは自由だ!」の感情をどうにか押さえ、
テスト前に調べきれなかったことや、テスト中に分からなかった事を、
覚えているうちにメモしてしまえば、これで本当に自由です。
やった!夏休みだ万歳!
あの、書いても書いても終わらず、だんだんと生活時間も注ぎ込み、
最後は睡眠時間まで削っては投入するという、地獄の数週間が終わりました。
自由だ!自由!
まずは寝ます!睡眠時間の取り返しです!寝るんだ万歳!!
と、テスト終了後に自宅に直帰しては、布団にダイレクトアタックし、
あの柔らかくも豊満な布団に全てを預け、そのまま気を失いました。
天国でした。
目が覚めた夏休み1日目、世の中は非情である事を悟りました。
夏休みは大変貴重なものです。
普段は出来ないような物事を行ったり、何か新しく始めたりする良い時期です。
良い時期なのです。
あの地獄の時期を、胸ときめくような美しくも楽しげな事を想像しては、
どうにかやり過ごし、ようやく手に入れた夏休みなのです。
何かこう、ご褒美ぐらいあって良いと思うのです。
それにも関わらず、です。
寝る前にかろうじて書いたメモには、「夏休みの宿題」と題がついており、
今回のテストにあたっての復習箇所と、やり方がかいてありました。
しかも、言い逃れ出来ないように、教科書何ページの何、参考書であるならココと、
参考資料まで付いている念の入れよう、1日どのくらいするべきかまで書いてありました。
おまけに、です。
夏休みの前半をたっぷりと使った「復習」の後には、
秋からの仕事を楽にする為に、事前に読み込むべき資料や本が列挙してありました。
端的に申し上げれば、「予習」です。
これもまた、どの本から読みはじめれば良いのか、何を知りたくて読むのか?が
みっちりと書きこまれておりました。
睡眠前のかえるが、一体何を考えてこんな綿密な計画を立てたのかは分かりませんが、
起床後の方といたしましては、愕然とするほかありません。
去年の夏は大変でした
一昨年の夏だって大変でした
その前は、節電してました
今年は遊んだって良いと思うのです。
遊びたい!遊ぶために頑張ったんだ!ご褒美は生きる糧である!!
ぼやきたい気持ちは山のようにあるのですが、この寝る前に書いた「夏休みの友」
調べれば調べるほどに、隙がありません。
やっておけば必ず良くなる。
そんな甘言で大金を要求するあれやこれやもありますが、
この予習と復習は違います。
大金など要求しません。
ただ、かえるの体力と時間と根性だけを根こそぎ要求しているだけです。
今日をとるか、明日をとるか。
夏休みの友とは、大変厳しい友人の気がしてなりません。
夏休みの、はずでした。
バツ!
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