平成26年9月14日。
 
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9月2週

長年探していた、おかきについに出会いました。

初めてあったのは、仕事中、「これ、あげる」と横流しを受けた缶の中。
大きさの割には軽い缶でしたが、中身はぎっしりと詰まっていました。

周囲は、「戴きもの疲れ」をしていました。

仕事をしていると、どうしても戴くのが手土産やお礼と共に届くお菓子。

責任が大きくなるごとに、仕事が右往左往するごとに、増えていくお菓子は、
最初は皆でいただいて、そして、上の方から食べなくなっていきました。

健康に、支障が出始めたからです。

しかし、かえるは立派な下っ端。
おやつの恩恵にはあずかっていない身の上。


「美味しいんだよー。」と上司の上の上あたりの方から急に言葉を受け、
動揺したまま受け取った缶は、本当に美味しい物でした。


和紙を模したプラスチック紙に包まれた、丸いおかき。
確か、小さな海苔が付いていた気がいたします。

お醤油を付けて、焼いただけという素朴で固いものでは無く、
お砂糖とお醤油とみりんを上手く混ぜてたものを、
ふっくらと焼いたおかきに焼きつけた物でした。


これがまた、ほうじ茶にぴったりでした。


しゃくしゃくと一袋食べきった後に、たっぷりのお茶を飲む。
口の中のほの甘さが、あのほの苦さで相殺され、
何枚でも続きが食べられる気持ちになりました。


何も考えずに、何枚も食べました。


それを、何日も何日も繰り返し、ゴミはちゃんと片付けて、
ゴミの日に出しました。



そして、気がついたのです。
あのおかきの店名が分からない。という現実に。



大体があれです。
改めてお礼を言いにいける相手ではない程の上司から、
たまたま運よく歩いていたので、貰えたものです。

今なら「写真に撮っておけば!」と簡単に思い付きますが、
当時は携帯に写真機能がついておりませんでした。

せめて、あの袋。
袋をとっておけば良かったのですが、あれは数日前にゴミに出しました。


でも、食べたいのです。
しゃくしゃくしたい。
思う存分、しゃくしゃくしてはお茶をのみ、とにかくお腹を膨らませたい。
あの、ほの甘い後味を満喫したい。


もう、虜でした。


そんな訳で、銀の箱で丸くて海苔ついていたような、ついていないようなもの。
銀の箱に入った物。
お使い物に出来る物。

というものを探すべく、全力を尽くしました。

お茶菓子を買いに行く雑用があれば、片端から引き受け、
新宿伊勢丹、新宿高島屋だって片端から徘徊しました。

けれども、無いのです。

丸くて、さくさくしていて、うす甘くて、海苔がついていそうなお得缶。






あまりにみつからないまま時が過ぎ、だんだんと記憶がうっすらしてきた先月あたり。
たまたま、お使いでおかきを送ったがてら、ついでに買ってみた同じ商品。

さっぱり期待せずに、アソートを齧ってみたところ、
あの味に出合えました。


丸くて、さくさくしていて、ほの甘くて、小さな海苔がついていて、
銀の缶に入っていて、豆せんべいも美味しくって、お使い物にでき、
それにも関わらず、食べ飽きないのでうっかり自分用についでに買って帰るおかき。



余りに衝撃過ぎたので、とりあえず手持ちのおかきは全部食べました。
ほうじ茶は、コンビニで買ってきました。


その日は、お夕飯が要らないほどの満ち足りた気分で眠り、
幸せの気分のまま、その数日生活しました。


よもや、あのおかきは夢、幻の類ではありません。
対価さえ払えば、手に入れられる現実的幸せな食べ物なのです。

万歳!ブラボー!生きててよかった!!

1か月ほど余韻にひたり、そんな素敵な細々した幸せを上司に伝えた所、
こてんこてんに怒られ、必ず覚えて置く事と、
どこかにメモしない限り、必ず忘れると説教された先週あたり。


見つけた幸せと、怒られた衝撃でしばらく呆けておりましたが、
そんなおいしいおかきとは、「小倉山荘の嵯峨乃焼」であったことを、
後世のかえるの為に、ひっそりと書いておいときます。

美味しい食べ物とかえる。


これだけなら、美しい記憶だけとなってかえるを満足させてくれますが、
美味しい食べ物に名前を聞き、それを覚えて帰れるならば、
かえる以外も幸せになれるはず。

1対1も良いですが、1対1とそれ以外。
そういう考えは、どんな時でも大切です。


うっひょい!
      
 
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