○
久しぶりのデート。
本当に楽しみにしていたのです。
予定より早く起きてお風呂に入って、どうしても一人では綺麗に塗れないから、
ずっとずっと早く目的地に行って、ネイル屋さんで爪を綺麗にしてもらって。
キツイ色は嫌いって言っていたから、淡い淡い桜貝色のネイルで。
白が好きって言っていたから、苦手だけど白いワンピースを着て。
暑いけど、髪をくるくるにしてみて。
ちっちゃいバックがその服に似合うねって言ったから、荷物を大幅に減らして。
……けど、すっぽかすってどういうわけ?
と、言う女の子らしい、女の子独自の論法で作り上げられたお話(愚痴)を、
かえるの目の前で、かえるの爪を削って下さっているお姉さんが、
何かの65分一本勝負のように、お話してくださいました。
今日。
本日、かえるがデートをする直前、やっぱりかえるは1匹では綺麗に塗れないので、
待ち合わせよりも早く目的に行って、爪を削ってくださいなと言ったのを知った瞬間から
一応お客だった記憶のあるかえるに、いきなり一本勝負のお話。
とどめに、かえるの着ているお洋服に合わせて、淡い淡い桜貝色を塗ってくださりまして…。
待ち合わせに20分遅れた子と、お茶と洒落込んだ時に「その事」を申し上げますと、
その方はそれはそれは死ぬ程笑ってくださいまして…。
かえるの事実を笑われたのなら、それでも良いかなぁと思ったのですが、
そのお姉さんの事を笑われたのであれば、申し訳ないなぁと思いながらのお茶の時間。
ちょっとだけすねながら爪を削っていたお姉さんと、いつもの綺麗なお姉さん。
大事な人と会えるお約束をしてから、女の子は一生懸命綺麗になろうと努力を重ねるのに、
最後の最後で、駄目だよって言われたら、やっぱり可愛くなくなってしまうのだろうなぁと。
ちょっとふくれっつらのまま、「また来てねー」っと言われたかえるは思うのです。
綺麗にしたら、やっぱり綺麗と言われたいし、もっと言われたいからこそ
小さい綺麗を重ねるだろうとかえるは思うのです。
かえるは、ちゃんとかえるの爪が綺麗だと褒めていただいて、ほくほくさんなのです。
が、こうして、常に綺麗にしないと「どうしたの?」と聞かれるかえるの「爪人生」のはじまりです。
後戻りだけ、出来なくなっていくのです。
綺麗きれいの道は果てしなく遠いのです。
|