平成17年6月18日。
 
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あんまりホテルが好きなので、一時期は1年で1ヶ月ほど住んでたなぁと
微妙なことを思い出してげんなりしてきたかえるです。
こんばんは。

ホテルで暮らすことは非常に便利です。
朝電話をかけただけで、あるいは前日にリクエストしただけで、
希望の時間に美味しくて温かい食事を部屋で戴くことが出来ます。

他にも、朝からお風呂に入ることも怒られませんし、
プールやジムでうろうろすることだって、他人の目を気にする必要はありません。

基本的に、一緒にうろうろする人はそのホテルに泊まっている人ですし、
彼らにとって、他の人たちは「朝からうろうろする」同胞だからです。

挨拶程度、天気の話程度の柔らかな会話。
後は、ジムの人に「次はこんなのー」とリクエストしてある動きのチェックを
してもらうぐらいです。

レストランを予約するのも、エステを予約するのも、フロントに言っておきさえすれば、
ホテルの中だろうか、外だろうがやってもらえます。
個人でやるよりも、確実に予約が取れます。便利です。

知らないお店に行くときは、誰かに尋ねておけば、
何号車に乗ればよいのか、どの改札口から出ればよいのか、
所要時間はどのくらいか? だって、素敵に教えてくれます。
忙しい時間を外して聞けば、最寄り駅まで送ってくれそうな勢いです。

あまりの親切具合に、何の不自由も感じないぐらいです。

そんな素敵でたまらないホテルの生活。
唯一切ないのは、一日に一度ルームクリーニングの間出かける必要があるくらい。


その快適ぶりに、色んなボーイさんと知り合いになるほど通いつめていたホテルですが、
あんまりにもそこに泊まっている為、色んな人がかえるにご当地のお勧めを聞いてくれるようになりました。

お好み焼きの美味しいところは?
お寿司は?
良いネイルサロンは?

確かに、大概お勧めのところはあるのですが、「ここがあるよ」と言おうとしたところ、
店名は思い出せるものの、行き方や最寄り駅を全く覚えていないことに気が付きました。

それまで、「行きたい」と思ったらフロントの人に聞けばよかった上に、
何も覚えず考えなくともその紙の通りに行けばよかったからです。


最短距離で、綺麗にいける案内図。
でも、隣にどんな駅があるのかどの路線とどの路線が繋がっているのかは、
全く分からず、描かれていない案内図。

きっと、この先何十年このホテルに泊まっていたとしても、
多分、この場所には詳しくなれないのだろうな…と思ってしまうと、
なんとなく恐ろしくなってしまいました。

便利で、便利すぎる案内図です。
サービスという意味では、これ以上素敵なものはないと思います。

でも、地の利を知る時は、迷子になったりうろうろしたりと、
時間を無駄に費やして、少しづつ感覚を得るものです。
路地を一度も曲がることなく、路地裏にあるお店を知ることが無いのと同じです。


この上無く素敵なサービスを提供する場所。
でも、そこは、無駄な時間までも提供する場所ではありません。

当たり前すぎて気が付かなかったことですが、やっぱり地の利が欲しい場合は、
自分の頭で処理をする方法を身につけないと大変です。

そろそろ、1週間ぐらい逃亡しに行きそうな素敵なホテル。
でも、今度は、自分の足が向きたい所をうろうろするのも結構楽しいはずなのです。

うろうろ。
      
 
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