平成25年8月18日。
 
Picture
8月3週。

「自分の手におえる代物ではない。でも、どうにかしたい」
そう思った時に、祈る対象があることがどれだけありがたい事か。
切実に思った数日間でした。



おばあちゃまが救急搬送された後は、さながらホラームービーのようでした。



開けっぱなしの窓からはカナブンが入り込んでは脱出を主張され、
灯りの場所がわからず、携帯の明りを頼りに「スイッチースイッチー」とつぶやき続け、
冷蔵庫を開け放っては「水分が無い!」と驚愕し、
エアコンのリモコンを探しては、「無い―無い―。早くしないとこっちも倒れるー。」

と、延々とうろうろし、


おばあちゃまが無事に帰宅されてからは、

・常に一緒に居る班
・買い出し等を行う班
・前2つの班が疲弊する前に交代する班

と、何だか戦いでもやっているのか?という厳重警戒でした。


なんとか人数だけは揃っていましたが、何分全員が素人かつ動揺しきった人ばかりです。
そのうえ切実な猛暑日と熱帯夜が延々と続く毎日です。

割合と数日で限界に近い状態でした。
「気を抜いたら次に倒れるのは自分だし、誰か倒れたら多分皆倒れる。」
主に暑さで皆でふらふらでございました。


そんな時でした。

毎日の買い出しの最中に、身代わり地蔵さんのお堂が建っている事に気付きました。
正確には毎回毎回見ているお地蔵さんです。

けれども、くたびれきっているカエルの前に、
物凄い色鮮やかな色彩とともに目に飛び込んできた。というのが正しい勢いで気が付きました。


水には浸かっておりませんが、既に溺れ切っているのでお祈りしました。


「とにかく、おばあちゃまが楽になりますように。」
冷静に考えれば、「最高気温か最低気温が下がりますように」が適切なお願いな気もしますが、
あの時はおばあちゃまさえ回復すれば、世界が救われるのではないか?
そう思う程、煮詰まっておりました。
端的にいえばこちらも脱水症状でした。


しかし、身代わり地蔵さんは大変霊験あらたかでした。


あれほど「もう死ぬもう死ぬ。だって具合悪いから」と言っていたおばあちゃまが、
「あ、生き返ったからご飯食べる」といいはじめ、気づけばかえるのおやつを横取りするまでに回復しました。

それはそれはみごとな回復でした。
こつこつと貯めていたカエルの功徳ポイントではさっぱり足りないほどの、劇的な回復でした。


しかし、身代わり地蔵さんは大変親切な方でした。
身代わりに、エアコンと給湯器で勘弁されてくださいました。
等価交換の意味を骨の芯まで学習しました。


けれども、回復してくれればいいんです。
あとは地道になんとかします。


毎日毎日身代わり地蔵さんにお礼を言いに行き、
「出来たらもうちょっとだけ小さい身代わりでお願いいたします」と更にお願いもし、
お礼の品は一体何がよろしいのだろうか? などと、ふらふらと考えながら帰宅しておりました。



カエル宅の家の給湯器、更に一つ壊れてました。




自分自身で出来る事、人様に助けてもらって出来る事。
なんだかもう、人智を超えた先で何かにお願いし、向こうの気が向いたらしてもらえる事。

世の中は、本当に複雑かつ様々な事があるものだと、しみじみとした夏休みでございました。



お礼、どうないしよう・・・。
      
 
Prev Index Next

Top