平成26年10月19日。
 
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10月3週
夢は沢山ありました。

パン屋さんにケーキ屋さん、図書館の人に、ご隠居さん。

幼い時から、沢山の職業にあこがれましたが、
特に魅惑的に映ったのは魔法使いでした。

当時は魔女っ子もののテレビが花盛りでした。
毎日毎日繰り返して見るものになりたくなるのは、
自明のことでありました。


子供心にも「それはちょっと無理だろう」ということだって、
魔法使いから授けられたステッキさえあれば夢がかなう。


あのステッキさえ振ることが出来たら、憧れのあれやこれやが手に入るのです。


その間、僅かに変身シーンの時間だけ。


魅惑的です。
大変に憧れました。

あれが欲しい。
幼子でもおぼろげながらに分かる「世の理」を無理やりに捻じ曲げ、
資源と時間と空間を一気に増幅させるあのステッキ。


「本物なんてないのだろう」と、幼子だって分かっているものでした。
でも、それでも欲しい。
せめて形を模したおもちゃと、変身後のあの素敵なお洋服だけでも手に入れたい。


マーケティングに乗せられやすく、そして、即座に目移りするおたまじゃくし時代。
「あれ、欲しかったなぁ」「これ欲しいなぁ」と切々と思い続け、
そして、そのまま、大人になりました。


こうなったら、こちらのものです。
あの時、手に入れられない物だって、財力の許す限りに手に入れて、
時間の許す限り、その幸せに浸る事が可能となりました。



が、かくしてここに「現実」が邪魔をします。


何年も「あれ、欲しかったなぁ」と温められていた夢は、
だんだんと細部にまでこだわりと妄想が細かさに細かさを重ね、
よもや原型を留めていない物が大半でした。

そんな「かえるの考える理想のステッキやお洋服」は、最早、非売品となっておりました。

けれども欲しいのです。
資源と時間と空間を一気に増幅させ、一振りステッキを振るうだけで、
夢がかなうあのステッキ。

きっともち手は細かな細工がしてあって、金銀パールで装飾が施されているに違いない。

最早国家君主でないともてないようなものを想像し、すばらしさに打ち震えておりましたが、
よくよく考えてみれば、真に欲しいものは「ステッキ」ではなく、その効果です。

究極的時間短縮で、問題を解決し、周囲を幸せに導く。

大人になった都合上、時間短縮の夢はあきらめましたが、
小さな問題の本質を捉え、現実的時間の枠組みの中で相手の満足いく行動を起こす。

というのは、何とかなりそうです。

後は、かえるの解決できそうな問題を探しては適当に引き受け、
顧客満足の向上に努めればいいわけです。

探すぞ顧客!

と思ったあたりで、小さき方による「私、プリンセスになりたいの!」なる、
すばらしいご依頼がありました。

針と糸。
布地だけは出来るだけいいやつで。


時間と物理法則にしたがって、ひたすらちくちくと縫い上げると、
かえるだって魔法使いになれます。

魔法使いとステッキとお洋服。
結局のところ、何が主眼となるか?と考えられると、今でも夢がかないます。



縫えました!
      
 
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