
11月1週
掃除してました。
この所、ひたすら掃除をしておりました。
別に急を要する事があるわけではありません。
ただ、こう、片づけに片付けを重ねて生活していた所、
ある日急に気がついてしまったのです。
これは、ある種の「弱い者いじめ」ではないか?と。
この感情を余すことなく、誤解が無いように説明するには、
時間を少々巻き戻す必要があります。
このところ、多分にストレスがたまっておりました。
誰が悪いというものでも、原因が明確化されるものでもありません。
たまたま忙しい時に、たまたま〆切がタイトなものが突如発生し、
そして、人間関係がぎすぎすとしたところに風邪が流行っただけです。
人間、原因が分からずにゴールが見えない物に対しては
たやすく精神を消耗します。
「あいつが敵だ」と分かっている時には、敵だけ見ていれば良いですが、
誰が敵だか分からない状況では、24時間あちこちに気を配らなくてはならないからです。
そんなこんなで、皆で仲良く精神を消耗し、仲良く精神がすさんだあたりで、
ある日、とうとう書類が雪崩を起こしました。
「急いでいるから」と、日々の雑用をおろそかにした結果ですが、
その瞬間、かえるは限界に達しました。
「片をつけてしまいたい。」
誰が敵だか味方だかが分からない時、とにかく欲しくなるのは、
身の安全と達成感です。
仕事の終了という、一番欲しい達成感は無理だとしても、
とにかく、何か「やりきった!」という達成感が欲しくなるのです。
こうなったら、よもや感情の問題です。
本来、仕事に使わなくてはいけないはずの根性や時間は後回しです。
何かもう、何かに一撃くらわせたい。
どれだけやっても怒られず、
相手から反撃されず、
程良い疲労感と達成感が得られる事。
出来たら、可視化でき、誉めてもらえればなお良いです。
書類が雪崩れたのは、そんな時でした。
ばさばさーと流れる書類。
それらに全部目を通し、番号をうち、ラベルを付け整頓したらどれだけ気持ちがよい事だろうか。
やりました。
大変綺麗になりました。
やみつきになりました。
「敵か味方か分からない」ものが、「敵でない」と理解できるこの瞬間。
「あいつ敵じゃなかろうか?」と気にしなくてよくなるこの解放感。
たまりません。
日々の整理整頓、少々の汚れ取りの掃除も良いものですが、
今まで気にもしていなかったものに取り掛かり、掃除しては配下にしていくという過程も、
なかなかの物です。
第一、どれだけ掃除しても誰も文句もいいません。
土ぼこりや煤けむりなんて、洗剤と漂白剤さえあれば一網打尽です。
物も言えずに震える彼らを、問答無用でやっつける。
もう、完全なる弱い者いじめです。
しかも、片づけたら片づけただけ綺麗になります。
一石何鳥だか分かったものではない程の大儲けです。
万歳です。
というわけで、弱いものを一方的にやっつけては溜飲を下げるという、
掃除に目覚めたかえる。
暇をみつけては、綿棒で埃をつっつき、漂白剤で拭いてはその白さに驚くという、
地味な弱い者いじめにいそしんでおります。
まだまだ道半ばですが、完全勝利のその暁には、
きっと仕事も終わると信じております。
多分!
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