平成27年3月15日。
 
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人はパンのみにて生くるのにあらず。
と、かの国では言われています。
 
よくわかります。
パンは美味しい食べ物ですが、
どうせなら、ハムだって、チーズだって食べたくなりますし、
そこにワインとサラダがあれば、なお、ありがたいものです。
 
そんなありがたいと思うのと同様。
仕事だって、ただ、金銭の為だけに働くのではありません。
 

まずは、達成感です。
朝、眠い目をこすり続けてはまぶたを腫れ上げ、
早朝から出てきたお化けのようにずるずると出社。
夕方あたりに我にかえったあたりで迎える退社時間。
 
「今日も一日がんばったなー。」と、悦に入ります。
重要です。
 
その次は、社会的帰属です。
別人ですよ?というほどにかすれきった顔写真が貼られた社員証。
あれをお財布に入れているだけで、「私、今社会に貢献しているかも!」と
見事な満足感に浸れます。
 
貢献しているかどうかは、また別の話です。
 

そして、最後は人との繋がり。
「きゃーたすけてー!」と慌てている人の下へ皆で集まる。
慌てず騒がす最善策を考え、人海戦術で仕事をやっつける。
程よいところでおにぎりなんぞ齧らせていただいた日には、
「ああ、何て良い人間関係だろう」と、人との繋がりの豊かさに
じんわりと胸が温かくなること請け合いです。
 

まあ、大体、ほどほどであるのであれば。
 
 
 
当時、世間は3月でございました。
世の中の業種によっては、地獄の釜はもう少し先という所もありますが、
かえるの所属する場所においては、地獄の釜が開き放題の時期であります。
 

きゃっきゃうふふと仕事をする場所は、
「だから、早く手をつけろって言っていたでしょう!」
「締め切りが待ってくれると思うなよ!もう伸びません!切れます!」と
怒号なんだか、悲鳴なんだかが飛び交う場所となり、
 
お昼時のお弁当自慢大会は、いかに早く飲み込めるか?の飲み込み大会へと
姿を変えます。
時折詰まらせる方もいらっしゃいますが、この時期は全てが自己責任。
文字通り、生き地獄になるのです。
 

もちろん、かえるであっても例外ではありません。
誤字脱字におびえ、差し戻しに怯え、
お夕飯サービスタイムに帰宅できずにむせび泣き、
お粥にストローをさしては丸呑みするという、暴挙にも出ました。
 
むせました。
おしょうゆも入れたほうが美味しいです。
 
そんなこの時期。
何度も繰り返しお伝えいたしますが、上司が事故に遭いました。
不運な出来事です。
誰も悪くありません。
 

悪くありませんが、時期だけが良くありませんでした。
仕事が大変増えました。
 

普段の二倍速で仕事をしているときに来た、地獄の追加連絡。
あれは本当に凄いものでした。
 
朝、意識が無くても何か作業。
昼、おなかがすいて意識朦朧としても作業。
夕、ゲシュタルトが崩壊しても作業。
夜、明日のスケジュールを立てつつ脳内で作業。
 
人間、パンのみで生きるわけではありません。
ハムだって、チーズだって食べたくなりますし、
そこにワインとサラダがあれば、なお、ありがたいものです。
 
しかしです。
どんな美味しい物だって、芋粥のようにどかんと出されたら絶望するように、
どんなに役に立つことだって、ひたすら対応させられたら、
やっぱり人間、辛くなってくることだってあります。
 
人間、やっぱりまずパンが大事です。
パンを馬鹿にしてはいけません。
 
ハムだって、チーズだって、ワインとサラダだって大事です。
が、取りすぎは良くないのです。
 
 
 
 
 
と、切々と思い続けたあの3月。
地獄に落ちてたあと1ヶ月。
 
思っていたことは一つだけです。
 

「でも、最後はパンである」
 
 
 
全部比喩でございますが、パンほど大事なものはありません。
まずはパンです。
 
パンだったのです。
 
 
 
続きます。
      
 
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