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「それ」は階段と階段との間。踊り場の部分にこっそりと存在していたのです。
古い木の飴色と、ちょっとぽこぽこした手作りらしきガラス。
そして、お姉さんとお兄さんの制服はちょっとレトロなお洋服。
・・・。
当然のようにスプリングの効いた椅子、常にふかふかと水蒸気が上がっている赤いぽっと。
牛乳からつくり上げられる、生クリームと、注文を受けてから淹れられるお茶。
聞けば、サンドイッチ製作のときは、パンを切る事からはじめるのはもちろん、
中に入っているハンバーグすらも、そのお店内で作られるそうで。
・・・。
よーくみたら、シガールームすらも存在しているようなこの喫茶店、
今まで、入るのを躊躇していたのですが、このたびあんまりストレスが貯まったが為に、
お財布の抗議を完全に無視して、入ってみました。
ここ最近にないくらいの、ウエイトレス&ウエイターさんの年齢の高さにはちょっとびっくりしましたが、
やっぱり、ここ最近にないくらいの丁寧な応対と気の使い方に、かえるめろめろ。
さらには、アイスティーを注文したのにも関わらず、きちんと葉っぱの指定が出来、
きちんと紅茶を入れてもらえ、さらにはきちんとクリームダウン(濁らない様に手速く冷やす方法)
を紅茶の専門店でないのにしてもらえ・・・。
ついでに頼んだウインナーコーヒーの生クリームは、それ単品が食べられないはずのかえるにも
うまうまで、つい食べきってしまい・・・。
ここ数ヶ月のイライラとか、ここ数ヶ月のむかむかとか、ここ数ヶ月の腹立つなーもー・・。
というものをぜーんぶそこに置いて来てしまいました。
お店を出てからの足取りはあまりにも軽くて、もしかして「人生に必要な感情」までおいてきたのでは?
と一瞬恐々としましたが、いざとなれば拾いに戻ればいいのです。
不幸せを抱えて倒れそうなときは、まず不幸せをおろしてから幸せを。
幸せで両腕がいっぱいで倒れかけそうなときは、人様にお裾分けをすればよいのです。
かえるは当分、不幸せを背中からおろすべく悪戦苦闘です。
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