平成15年2月5日。
 
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家の中でも携帯を首から下げて持ち歩かないと、
確実に遭難するという間抜けな体調が3日間続いていたかえるです。
今晩は。

実は、「やらなくてはいけないモノ」というものが終わった瞬間、
「何にも出来ない病」というものにかかってしまいました。

書かなくてはいけない文章を書こうとした瞬間、書くべき対象を失う。
針を持った瞬間、何色の糸を使えば良いのか忘れる。
洗濯物を持った瞬間、こぼす。
部屋を片付け始めた瞬間、膝が震える。

…最後のは、確実に栄養ドリンクを飲みつづけた結果の副作用なのですが、
残りは、大概「やらなくてはいけない事」を支障なくやろうと
神経を張り詰めすぎた結果のものなのです。

これをやらなくてはいけない。
これを、間違ってやってはいけない。
人様の都合を考えて、この時間までに作り上げないといけない。

「〜しないといけない。」というものは、人生の糸を緩ませないようにする
貴重なスパイスだと、かえるは思うのですが、
あまりにもそのスパイスが効き過ぎる期間を過ごしてしまうと、
そのスパイスがなくなった瞬間に、頭の中まで糸が緩んでしまうみたいなのです。

糸が緩んでしまい、それをもとの正常な適度な張りを保つまでの期間。
何をやっても失敗しかできず、ぼんやりとしてしまう時。
かえるは、それを「何も出来ない病」と呼んでいます。

この時は、きっと何をしても駄目なのです。
たくさんたくさん「〜しなくてはいけない」という緊張感の日々だったので、
心と頭が小さい反抗期なのです。

そんな感じだったので、かえるも家事生活を放棄して、
ひたすらアイロンをかけていました。

お気に入りのリネンウォーターをぷしぷしとかけて、
アイロンでひたすら皺を伸ばす。

アイロンを当てた部分から、ふんわりと良い匂いがして、
「何もしなくて良い」幸せをかみ締めながら、火傷しないように
じゅわじゅわと皺を伸ばしていく。

かえるの家には大物で単純に皺を伸ばしていくものがそんなにある訳ではありませんが、
ベッドのシーツと枕の袋。それにハンカチ十数枚をかけているうちに、
ゆっくりゆっくりと頭の中の糸が、きちんと張られていくようで気持ちがよいのです。

色々抜けてしまったら、アイロン掛けてみませんか?
けっこう、良い匂いがして良いものです。
      
 
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