
○
新しい場所を通っていると、今まで気にしなかったお店を近くで見られたり、
再発見をしたりすることがあります。
「知らない」と思っていても、実は忘れていたという事実に再度驚いたかえるです。
こんばんは。
朝、昼過ぎ、夜と、人や小動物の生活時間帯によって変わる道。
そんな変化を、「おもしろいなー」と思いながら歩いていたところ
道は更に変化することに気が付きました。
毎日通る道ならば、臨時休業であっても気が付きますが、
週に一度通るくらいの道ならば、その曜日、時間帯には開いていないお店だってあるはずなのです。
そんな当たり前かつ、改めて考えると、「そうなんだー」と思う定休日のお店、
かえるの場合、その定休日のお店はバイク屋さんでした。
小さな通りに、2つも3つもあるバイク屋さん。
今まではシャッターが閉まっていたので全く気が付かなかったのですが、
曜日を変えた途端、通りに入った瞬間聞こえてくるのは、
修理、点検する工具のにぎやかな音。
傍を通れば、その独特の機械油が焼けたものが幾重にも重なったような、
焦げついているのにも関わらず、砂糖が溶けたような甘みがひたひたと追いかけて来るような、
そんな匂い。
割合と苦手そうな匂いだと、覚悟して歩いていたのですが、
その匂いをかいで、一番最初に脳裏に浮かんだのは、かんかん照りの夏。
暑くてたまらない太陽を避け、ひんやりと薄暗く人の来ないお店の中、
扇風機だけで涼を取りつつ、日がおちるのを待つ夏休みの一コマでした。
機械油、しかもバイク屋さんでしか嗅げない様な香りにも関わらず、
何故夏休みなのだろう…と、不審に思いつつも歩いていたところ、
よーく考えなくても過去にぶち当たりました。
かえるの実家、良く考えなくてもバイク屋さんやってた。
大きな長細いお店の為、表は自転車屋さんだったのですが、
裏は物心ついたら既に閉店していたバイク屋さんがありました。
一応、お客さんが来れば両方修理、販売をしていたはずなので、
よーくよーく考えなくても、思い出すべきだったのです。
でも、全力で忘れてた。
小さい頃、それこそ一人では隣の県まで行けなかった頃に毎年行っていた田舎。
数年どころか、10年は確実に帰っていない上に、今は誰も住んでいない母屋のお店。
たまには風を通す為だけに、帰宅するついでに、あの独特のひんやりした香りを、
もう一度ぼんやりと堪能してみたい…と、苦く思った一日でした。
物凄く、遠い家だけど。
|