平成17年6月26日。
 
Picture
○
日常何気なくやっていることや、何の感傷も引き起こさないことだって、
違う視点から見ると、物凄い重要であることを思い出させられたかえるです。
ごめんなさい。

住んでいる家が、最寄り駅から大分歩くという立地条件のため、
駅まで出ようとすると、バスを使うことになります。

バスの時間を見計らって、てくてくとバス停へと向かう。
来たバスに適当に乗り、駅までてるてると向かう。
帰るときも、大体同じ。

けど、帰宅するバスには行きと違って一つだけやることがあったりするのです。

それはそれは簡単なこと。
でも、小さい頃お出かけは楽しいものであった時には、
それが出来るか否かは、お出かけの楽しさを左右するぐらい大切な、
「降りる停留所の前で、乗降ボタンを押す」という事。


微妙な住宅地に住んでいる為、帰宅の時もボタンを押さずに降りれるのですが、
時折、それでも押さないといけない時があったりします。

それを忘れて「誰か押してくれるだろうー」とぼんやりしてしまうと、
隣の停留所まで連行決定です。

ということで、普段はぎりぎりまで他人任せにし、最後に諦めて押すボタンなのですが、
その日はたまたま乗客も少ないことですし、早めに押すことにしました。

ぽちっとしようとしたその時、前の方の席に座っている、小さなツインテールの髪が揺れ動き、
ボタンを押そうと手を伸ばしたのが分かったのですが、反射神経そこまでついていけず。

「あ。」と思ったときには、既にボタンを押してしまった後でした。

自分が押そうとした瞬間、バス内全部の明かりがププっと音を立てて赤くなり、
押しても音は鳴らないと悟った小さいツインテール。

その小さな手を伸ばしたまま、ぎぎぎぎぎぎぎと音を立てそうな首の動きで、
「誰が押した?」という殺意と共に、後ろを振り返ってきました。

繰り返しますが、乗客が少なかった帰宅バス。
乗っているのは、その家族とかえるともう一人二人ぐらい。

しかも、降りるのはかえるとその家族だけです。
あからさまに分かりやすい消去法です。



バスを降り、歩む道がすれ違うまでの5分の間、
ツインテールの女の子の冷ややかを通り越し、突き刺さりそうな怒った目は、
それは非常に怖いものでした。


大人になったらなんでもないこと。
でも、子供のうちは非常に重要なこと。

大人になった今、当時の狂信とも取れるような熱中の只中に入ってしまったことを、
切実に後悔した5分間でした。


小さい子を確認してからボタンを押すのは、非常にひじょーに重要です。

がくがく。
      
 
Prev Index Next

Top