平成17年10月9日。
 
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最近は妙な距離のお使いが増えてきた為、電車に乗ってうらうらと出かけることが増えてきました。
乗っている間は割合と暇なので、この時間をどう有効活用しようか悩み中でのかえるです。
け、携帯でぺけん書きとか?

日は既に天を回ってしまっているので、どちらかというとぼんやりとした空気の電車。
そんな中でぼんやりと時間を潰していると、乗り込んできた女子高校生3人組の携帯が、
物凄くキラキラしていることに気づきました。


携帯単体ではちょっと出来ないほどのキラキラ具合だったので、「何か凄い!」と感動していたのですが、
よくよく考えてみると、ネイルアート用のストーンもあんな感じのきらきらです。
じっくりと観察していると、どうやら一人一人全部自作したキラキラらしいのです。

爪1,5cm×2.0cmでストーンを置くだけでも大変なのに、携帯一面にびっちりときらきらを配置。
ちょっと考えただけでも、物凄い集中力と労力が消費されていそうな携帯ですし、
その為なのか電車に乗っている間中ずっと、三人組は携帯制作の苦労話で盛り上がっていました。
なんだか凄く楽しそうです。
夢中になれるものがあるのは、それだけで素敵です。

いいなぁ素敵だなぁと思いつつ、うつらうつらしていたのですが、
がちゃり! わぁ! という嫌な音にはっと目が覚めました。

どうやら、前で語りに語っていた3人組。
お話に夢中になりすぎて、携帯を割ってしまった子が居るみたいなのです。


語っているものが目の前で大破、これは大変です。


思わず、大丈夫かなぁと思いつつ耳をそばだてていたのですが、
割った本人は案外ひょうひょうとした声の音程です。

「また買うから大丈夫だよ」
「大丈夫?」
「平気、仕方が無いし」

渾身の力作を壊しても平気といえるのは凄いなーっと心底感心し、
尊敬しながら電車を降りたのですが、やっぱりなんとなく違和感がざらつきます。

デコレーション用のストーンだって決して安いものではありませんし、
それに費やす時間や集中力、配色だって、生活をしていたら簡単に捻出できるものではありません。
第一、あれほど熱っぽく語っていたものが一瞬にして壊れても、
平気な声で対応が出来るのは、いい年をした大人でも難しいです。

にもかかわらずの、あのテンション…。
おかしいなぁとにょろりにょろりと悩みながら帰宅し、青年心理(特に青年中期の高校生)
の研究をしている人にお使い結果報告ついでに聞いてみたところ、
やっぱりここ10年ぐらい、関心対象物と自己というものの数値が非常に移動しているという返答が。

物凄く適当に説明してもらったのですが、
重要なものは、異常な程に愛や関心を向けてしまうのだけど、
自分にとって不利(壊れる等)になると、びっくりするほど関心が薄くなりやすく、
それは自分自身の人間関係にも言える傾向がある。

という、世の中で言われているような切ないものでした。

物は所詮物なので、大事にしようともしなかろうとも大して差は無いと思うのですが、
それを扱う自分自身は、せめてもうちょっと重要度が高くなればいいのになぁ…
とにょろりと思った一日でした。

壊れたら、そう簡単には治せなそうです。
      
 
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