平成18年5月1日。
 
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あなたになりたいと思った。
思い出すだけでドキドキする叔母に、お線香を上げに行ってきたかえるです。
報告も更新も、いつものように遅れてます。

好きな人はすぐに居なくなる。
そんな愚痴をこぼしたくなるくらい、急激に大切な人を失いつつある去年、今年。

その幕をあけ逃げしたのが、叔母でした。
仕事が国内全部という広範囲に渡っていた為、年に数回は関東のこちら側に顔を合わす代わりに
実家には滅多に居ない。
子供が「親が家にいるのを見たことが無い」というほど忙しいのに、
食に関わる全てが大好きで、遺品のリストが未だに完成しないほどの食器好きでした。

そんな何があるか分からない叔母の家。
お線香だけ上げて帰宅するのも道の声が大きすぎると泊めて頂いたのですが、
寝室にある陶器が気になってたまりません。

高さ40センチ、
白い桜が浮き出ているようなぷくりとした陶器。
秋の空と溶ける前の金を思わせる色が過不足なく載せられている、それ。

部屋にある酒用チェスト。
その後ろにひっそりと置かれていたのにも関わらず、他の何よりも目を引きつけてやまず、
「酒瓶だから」と他の部屋に移っても、何度も見入りに戻る程でした。

酒瓶のわりには、ちょっと魅力的すぎるそれ。                  
最初はせめて写真だけでも。 と思っても、見たら最後写真を撮る程に冷静になれず、
思わず叔父に、「飲み終ったら陶器ください」とねだりにいってしまうほどでした。

封も切らず、冷暗所にて保管されつづけたお酒。
さぞかし難問を投げられると覚悟していたのですが、
意外性たっぷりの「貸してやるから、飲み終ったら返せ」なる返事でした。    
サントリー、山崎12年。

そこはかとなく、記念ボトルっぽい形。
公式サイトにも無い形なので、1922年以前の物なのか。
それとも、全面桜の話の装飾から花の万博の記念ボトルか関係者用なのか。

GOOGLEさんに聞いても返事が無い。
長年マスターをしている人も見たことが無い。
収集家も公開していない。

こうなったら、写真と共に尋ねてみるしか、謎が解けない不思議美女。

そもそも、そんなに前ならアルコール、蒸留酒とはいえ飲んでいいのか。
やはり、封をきったらまずかったのか。

ゆっくり、美味しいアテが見つかった時に飲んでも飲みきるには一年。
再び線香をあげにいくその日までに、謎をどうにか解明したい。

行き着けのお酒屋さんで、マスターとそっと開けつつ舐め考えつつ、
しみじみと謎ばかり多い陶器の前で頭を抱える一周忌でした。
      
 
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