
1月2週
「勝利宣言」はじめました。
「話さないでね」「話しませんよ」と契約したものは、お墓まで持って行った方が良いですが、
そこはかとなく話題にできず、ずっと抱えている「事柄」というものがあります。
日常の一コマの中、普段なら気付かずに流してしまうような場面だったり、
時代が過ぎ去った後、しばらくたってからようやく気がつく事であったり、
世間体の都合で話題にはしなかったけれども、「それは違うのではなかったのか?」という、
自分と世の中の価値観の相違といったもののが大半です。
そんなちょっとした「事柄」。
普段はそのうち忘れてしまうのですが、
人生の後半にもさしかかると、いきなり事柄を思い出す方も多く、
かなりの確率で、他人に語るという方策をとっては確認してくるみたいです。
前振りとしては、そんな感じです。
今日も今日とて語られておりました。
最近は戦後直後がブームです。
戦後といえどびっくりするほど物が無く、進駐軍はそこらへんで勝利を謳歌し、
価値観がひっくりかえったとはいえ、戦前の外圧が色濃く残る不可思議空間。
そんな戦後を職業婦人として、あちこち見てきたとはいえ、
物事を体験した時に、思った事を全て言えた訳ではありません。
言える相手、言えるタイミング、そこはかとなく言えない世間体。
そんな大小様々な障害の前に、口をつぐんだ事も沢山あったと思われます。
が、長生きは人を勝者にします。
あの時は言えなかったが、実はこう思っていた!
長々と考えた結果、やっぱりこう思う!
相手は生きているうちは、うっかり文句をつけたりするともれなく相手にばれますが、
死んでしまえばこちらのものです。
相手をいくら悪くいっても、恩を着せても、誉めたたえても文句の一つも言われません。
長生きはそれ自体が勝者です。
時代を生き抜いた上で意見を身に付け、都合の悪い事は消去します。
だーれも文句は言えません。
そんな訳で、今日も聞いてきました勝利宣言の2時間半。
ご近所で噂になるほど折檻したお姑さんがどんな非業の死を遂げたのか、
戦前の景気の良い瞬間がそれほどあっという間にいなくなったのか、
戦後の法律改正前に皆でどんな悪い事やっちゃったのか。
知り合いには決して話す事は出来ないが、時間や空間や関係性さえ違う相手には
幾らでも話してしまいたい事柄・経験・感じた事シリーズ。
昨今は大変便利な世の中になりました。
匿名で愚痴を言おうと思えば、いくらでも愚痴れる匿名情報空間がすぐそばにあります。
しかし、相手は同じ時代を生きている人間です。
生きている都合上、運悪く対象者に聞かれてしまう事もありあえる世の中です。
言ってしまいたい事柄シリーズ。
あれには「黙っておいた方が良い時間」というのが、存在するのではないだろうか。
そんな事を思ったりした勝利宣言拝聴時間でございました。
かえるの勝利宣言までは、あと50年ぐらいです。
ながい!
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