平成26年3月30日。
 
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3月5週。

一度で良いから書いてみたい。
そう思っていても手を出せず、それでも悩み悶えている事柄に、
「美味しいカレーの作り方」のレポート提出があります。


他のレポートや試験に追い詰められ、どうしても書けない時に提出する最終必殺技として、
はたまた、せめて笑いをとっておこうという自爆技としても有名な都市伝説ですが、
かえる、いっぺん研究室まで聞きに行った事がありました。

教授だって人の子です。
都市伝説を確かめに来た勇気ある両生類に、それは親切に答えてくださいました。



「実際に作って美味しかった場合、単位は出します。」




それからはもう、悩みました。
単位を落としては困ってしまうので、
小レポート提出で点数を稼ぎ、最後の大レポートを「美味しいカレーの作り方」として勝負に出るか、
それとも、「ふつうのレポート」「カレーの作り方」の2本仕立てで保険をかけるか、
毎日に悩みに悩み、うっかり別のレポート提出期限を忘れる所でした。


悩む内容が「美味しいカレーの作り方。」
これほど情けなく、素晴らしい悩みはそうはありません。


卒業するまでの間、何度もねちねちと悩んでは身もだえし、
のたうちまわった結果、大人しく普通のレポートで卒業してしまいました。


けれども、出してみたいのです。


十二分に大人になり、レポートの定義をみっちりと学習した今、
本気で「美味しいカレーの作り方」なるレポートが書けたなら、
もしかしたら「可」ぐらいの単位は貰えるのではないか?

忙しさに頭がわいたあの時、うっかりそう思い込みましたし、
話をした相手も全員「楽しそう!」と乗ってくれました。



悲劇の始まりでした。


レポートの基本は、「対象を調べ、分かった事を、一定の形式に合わせて書く」事です。
それにも関わらず、「美味しいカレーの作り方」という題名には、
「誰」が「どのよう」に「美味しい」としているのかが分からないのです。


イメージでは楽しそうですが、実際に本気で書くには前提が曖昧すぎでした。


というわけで、今回は手抜きをいたしました。
レポート判定をしてくださる先生方の「美味しい」と感じるカレーの作り方であれば、
良い事としました。

つまり、どんなに美味しいカレーを作ったとしても、
対象の先生が美味しいと思わなければ単位不認定です。


ダメな大人達は本気を出しました。
しかし、レポート提出の設定時期だけがよろしくありませんでした。


カレーを作成するにあたり、ありとあらゆる事前情報の仕入れと、
情報の混乱、陽動作戦、自腹予算の投入が行なわれました。
けれども大人です、仕事だって生活だってありました。


じわじわと無くなって行く時間や予算、情報精査のタイミング。
連日のカレーの試食は日に日に迷走を深め、各人の「美味しい」の定義も見失って行きます。


レポートにおいて、何より大切なものは、事前準備でも情報統率でもありません。
提出です。


無事に締切日までに提出出来た同士は5割を割り、
レポートのみを頼りに最期までカレーを作成する事が出来たのは、更にその半分を割りました。


カレーとしては美味しいものの、指定された先生の好みをクリアしたレポートは、たったの1本でした。


自分の意見を、相手に伝わるように、様々なタイミングやテクニックを駆使する。

一見、何時でもどこでも行なわれている事のはずですが、
やはり、現実には色々な障害があります。


相手に伝わる何かを行なうには、相当の努力と時間、そして運が必要です。
そんな事がよくわかる、大変重要なレポート提出珍事件でした。


ちなみに。
レポートの形を整え、相手の好みを的確についたカレーといたしましては、
「日清のカレーヌードルを作り方通りに作成し、北海道メグミルク100のマスカルポーネチーズを15g程追加したら美味しい」
というものでした。



大変、美味しゅうございました。
      
 
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