平成26年9月7日。
 
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9月1週

くたびれました。

この所、忙しい日が続いておりました。
特に、「これ!」という決定的な出来事はありません。

たまたま、事前に申請していたものの許可が出たり、
日程があわず、延び延びになっていた日が上手く決まったりと、
毎日の「もやっ」としたものが、どんどんクリアになっていく。
そんな楽しさを含んだ、忙しい日々でした。


しかし、毎日忙しく働いていると、誉めてもらいたくなるのが人間です。


やる事が毎日溢れるほどにある。
これ自体が、世の中から認められている一つの尺度にも思えますが、
あんまりそれが続いてくると、誰かに「頑張ったね!」と言われたくものなのです。

異論は後で議論します。
かえるは、どうしたって誉めてもらいたいのです。

ネットやメール、出かけた先で、さらりと誉められるのも良いものですが、
ここはひとつ、どーんとじっくりと話を聞いてくれ、一度受け止めては解釈し、
その上誉めてもらう、そんな贅沢な誉め方をしてもらいたいのです。


それだけ頑張ってきたのです。

たまには、全力で頑張りを認めてもらえる。
そんな事があっても良いと思うのです。


というわけで、エアコンも無事に修理され、
なんとか生き返ったかえる、意気揚々とおばあちゃま宅に行ってきました。


夏の暑い日差しの中、深く生い茂った木々と広い庭に風が洗われ、
涼やかな風となって家に入ってくる。
そんな、気持ちの良い午後でした。

ひらひらと飛ぶ蝶をぼんやりと眺めたり、空をぽかんと眺めたりと、
おばあちゃまと一緒にきゃっきゃしつつも、これ幸いと、最近の出来事をお話しました。

仕事が雪だるま式に丸まっては突撃してきた事。
いかにそれを捌いては、処理を行い、どうやって自動で処理できるようにしたか。

それはもう、語るに語りました。
人に「話をする」ということは、これだけで一つのカタルシスです。

相手に自分の出来事を、割り込み無しでお話し、「うん、うん」と相槌を打ってもらえるなんて、
そうそうある状況ではありません。

もはや一種の贅沢です。
贅沢万歳、やっぱり人間は感情と社会の生き物です。


そうして、洗いざらい喋ってしまい、「さー、誉めて!誉めて!」と顔を上げた、
その時でした。


「本当に、我慢したのねぇ。」


完璧なタイミングでした。

ここで、「それは頑張ったわねー。凄かったわ。」と言われたならば、
信頼はウナギ登り、株はストップ高、
「かえるの人生で凄かった場面」として、語り継がれるタイミングでの、
爆弾放り込みでした。


そうでした。
相手は、大阪商人でした。


戦前、戦中、戦後と動乱にも程がある日本の世の中を、
「どうせ生きるなら、楽しく生きましょう」とテンション高く邁進し、
一族を盛りたててきたおばあちゃまに、「忙しい」という概念はありませんでした。


人間というものは不思議な生き物です。

感情を共有しなくては、孤独に押しつぶれてしまう一方で、
まったく同じ価値を持つ人は二人と居ません。

皆どこかで共有可能で、そして共有不可能な所を持つものです。

かえるの「認めてもらう。」
おばあちゃまの「得意な事だけをする。」

外見も、味の好みも、全く一緒な2人ですが、
こと仕事に関してだけは、相容れないを通り越し、理解できない世界に住んでおりました。


しかし、かえるだって負けては居られません。
誉めてもらいたいのです。


ちまちまとスプーンで砂の城を作り上げていくかのようなあの虚無感と、
それでも進んでく悲愴感と、孤立無援の切なさはこの際脇に置いておいても、
人間、誉めて貰わなくてはならない時があります。


忙しいという事に興味関心が無いのであれば、相手の価値概念に合わせて
話をでっち上げればいいのです。

どうせ、出来事なんて主観です。
同じ出来事であっても、認識の違いや、どこに焦点を合わせるか?によって、
全然違う話になるはずです。

幸い、相手はおばあちゃまです。
お話する時間だけはたっぷりあります。

こうなったら、「いかに自分の得意分野を活かし、仕事をちぎっては投げたのか?」
という話に方向転換、相手が気に入る方向を探りつつ同じ話をし続けます。
こうなれば意地です。


誉めていただきます。


誉めてもらいに来たのです、どうせ明日も明後日もおばあちゃま宅です。
対象の求めに応じ、現状を把握、対策を講じ、実行するのがかえるの仕事です。
こうなったら、誉めてもらうまで帰りません。

勝負です。


誉めてもらったら帰ります。







そんなわけで、絵日記の絵を書いてから文章が上がるまでの数日間。
ほぼ毎日、今までの仕事以上に大変しんどかった事を、ここにお伝えしておきます。




勝ちました。
      
 
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