
8月5週。
空けても暮れても。
そして、起きている間も眠っているときも。
暑さは決して、かえるの側を離れようとはしませんでした。
もはや、蜜月を通り越して、死闘。
夏が去るのが早いか、かえるが緊急搬送されるのが早いかのデスゲームでした。
太陽に、蒸し焼きにされるかと思いました。
しかし、時はどんな辛い時にだって平等に過ぎ去ります。
エアコンです。
あの、うんともすんとも言わなかったエアコンですが、
遂に修理されました。
正確を期せば、夏の暑さに修理不能になっていたので、
新しいエアコンを入れてもらいました。
生きるか死ぬかの、こんな時です。
値段の部分は目をつぶり、判子を押すしかありません。
大変な塩分水分、そして財政困難という壮大な犠牲を払い、
なんとか夏に打ち勝ったはずでした。
しかし、ここで終わらないのが人生の悲哀。
人生の喜劇の部分です。
エアコンが修理されるまで、室内温は昼間は33度、夜は29度、湿度は70%という、
ちょっとした地獄でした。
「とりあえず今日を生き延びる」
明日の事なんて考えている暇はありません。
問題は今日なんです。
環境の切実さはあっという間に体調を変化させ、
そんな暑い中でも、なんとか生き延びようと適切に適応してくれました。
しかし、新調したエアコンは、そんな事は知りません。
彼は、ただ大変に賢く、効率よく仕事をする子でした。
部屋の中には、発汗作業に勤しむかえるただ一匹。
そんなかえるに狙いを定め、冷気を送ってくれました。
みるみるうちに冷えゆくかえる。
汗を止める方法が分からずに、右往左往するかえる。
今までの温度差の違いに、うっかり冬眠を検討しはじめるかえる。
もはや、ちょっと寒いどころではありませんでした。
南国への旅行で、Tシャツ短パン、メントールで体を拭いてから入国し、
建物から出た瞬間にブリザードにふかれた状態です。
身も心もあっという間に氷漬けです。
エアコンを切ると灼熱。
エアコンを入れると極寒。
人間、片方ならなんとかなりますが、
両方はいけません。
心意気がどうのというレベルではなく、物理的にやられます。
あんなに待ち望んでいたエアコンを、導入した瞬間風邪をひく。
そんな新たな拷問に何とか耐え、
布団から這い出せた頃には、既にトンボが飛ぶ季節となっておりました。
頑張って出来る事。
出来なくはないけど、後から利子がお迎えにくる事。
そもそも、やっちゃいけない事。
世の中には、本当にさまざまな選択肢があるのだと、
骨の髄から学習した夏休みでした。
もはや、局地的災難です。
むり!
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