平成26年11月23日。
 
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11月4週

美味しいお菓子に出会うと、心が震えます。
別に心不全ではありません。

この商品を作るのに、一体どれだけの手間暇と思考錯誤があったのだろうか。
そう思うだけで、嫌な汗が出てくるのです。

本屋さんに行けば星の数ほど売られているレシピの本ですが、
同じように作ったとしても、すぐに美味しいものが出来るとは限りません。

レシピに書かれていない、「使っている材料」「焼き型のくせ」「使っている
オーブン」等、
真の美味しいものが出来あがるまでには、解決しなくてはならない
山の様な課題が待っているのです。

これが仕事であれば、納期と品質と予算という制約の中、
もんどり打ちながら勧める必要がありますが、かえるの場合は完全なる趣味です。


小麦粉を変えてみる。
バターを変えてみる。
砂糖もメーカーを変えてみる。
泡立て時間や焼きの温度、余熱時間を少しづつ変えてはメモをとり、
一つ一つ条件を変えていきます。


その間に出る「なんかちょっと違う」お菓子の量は半端ではありません。

週末に作り、平日に消費する計画を立てていても、口だって慣れてきます。
今までの経験でいいますと、3週間目あたりで嫌になります。


飽きたけど、焼きたい。

こうして、完成途中のお菓子は周囲を巻き込みつつ消費されていき、
かわりに、理想の味は「味見をする人」の都合が入ってきます。

「もう少し軽やかな口触りがいい」と言われたら、小麦粉をかえ、
「もっとどっしりとした味がいい」と言われたら、バターを追加、
「甘い奴!とにかく甘い奴!」と言われた場合、香りや砂糖を増量する必要が出
てくるのです。

レシピだけ忠実に守っていても、「真の美味しいお菓子」にはならないのです。

王道は守りつつ、それを殺さないように変化させていく。
どんな事であっても、大事な事だと思います。

しかし、そうなると更に壮大な問題が発生します。

お菓子の原材料というのは、大体において「砂糖」「バター」「卵」「小麦粉」と、
現代の社会生活においては積極的摂取をしない方がよい食品で構成されております。

端的に述べれば、太ります。


美味しくしようとすればするほどに。
周りに喜んでもらおうと、すればするほど。

まわりがむちむちとしていくこの現実。

一体どうすればいいのだろうか…と、震えたりもいたしますが、
それでもやっぱり作りたいのです。


満足できる逸品を作る。

色んなお店で売られている、美しくも美味しいものを見るたび食べるたび、
「一体、何人がむちむちになってしまったのだろうか…」と、静かに怯える今日
この頃です。



なお、今年は、
「クリスマスに食べるはずのフルーツパウンドケーキ、白いアイシングと赤のド
レンチェリー付き」
のレシピが出来あがっておりません。


既に、皆でむちむちです。
      
 
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