平成26年12月21日。
 
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12月3週

おやつが好きです。

ご飯を食べる事は、生きていくために必要十分条件ですが、
人間、生きるためだけに食べるのではありません。

たまには世の繁栄を誉めたたえ、甘受し、味わいつくす必要があります。
つまり、おやつです。

数十年前は手に入らなかった材料がふんだんに使え、
品種改良で美味しくなった果実も入手可能の昨今。
オーブンや流通といった技術だって、日進月歩の進化中です。

そんな物を甘受するためには、おやつです。

世の中がどれだけ素晴らしいか? を知るために、
季節限定のあれやこれやや、日にち限定のあれやこれやを手に入れると、
ただ、それだけで世の中と幸せが分かります。

小さなお菓子を守るためだけに、小さく作られた箱や包み紙。
そんな細部にこだわりがあれば有るほどに、恍惚が隠せません。

あの、ほんのりとした重さのおやつの裏に、
一体どれだけの知恵と根性と歴史とやけっぱちがはいっているのか。

想像するだけで幸せです。

お使い物のおやつだって、等しく幸せです。
相手はどんな方なのか、背景には何人ほど存在しており、
普段はどんなおやつを召しあがり、何が食傷気味であり、気になるのか。

沢山のおやつ情報を基にして、一つ一つの可能性を消していき、
上手く相手に伝わった時のあの幸せ。

おやつというのは、とかく人を幸せにします。
おやつは素敵な物なのです。おやつぶらぼー。




などと、毎日一人で脳内喝采を送りつつおやつを食べている為、
出先、旅行先でもおやつを欠かす事はありません。

むしろ調べ放題です。

デパートの「月一しか入らないお菓子情報」があれば熟読し、
出店情報があればDLし、限定であれば並びます。
もちろん、インターネット上で買えるのであれば、10分前から待機です。

そうして手に入れるおやつ達。
可愛くない訳がありません。

にやにやとしながら写真を撮り、おやつ仲間とうひょいうひょいと食べるのです。



多分、たしか、さっきまでは。


今月は、シュトーレン、パウンドケーキと小麦粉分の多い物が続いておりました。
クリスマスや年末も近い為、日持ちし、大勢で食べるものを多目に頼んでいたか
らです。


今日だって届いたおやつを等分し、お茶を淹れるという、
あのひそやかな時間となりました。


切った時にふわりと香ってきた、素晴らしい香りを考慮に入れると、
今回はミルクティー以外には考えられませんでした。
そして、ミルクティーには濃いめの牛乳が欠かせません。

ひょーひょーと震えながらも、ちょっと遠いスーパーまで牛乳を買いに行き、
なんとか帰宅したその瞬間、机の上にちんまりと置かれた「皿」だけが確認出来
ました。


甘味を食すか否か。 というのは、社会や家庭環境により差が出ます。
異常なまでに甘味に関心を抱くかえるの身内も、やはり甘味を好む傾向があります。

ましてや、美味しいものが大好きでたまらないおばあちゃま宅で、
「最近美味しくて大評判」のバームクーヘンを切り身にしてから放置した場合、
結果は火を見るよりも確実です。


一つを美味しく戴き。
一つを次の日用に確保し。
一つをお夜食用にも確保されておりました。

もはや、なすすべ無しです。

おやつ提供者としては、これ以上ない賛辞行為ですが、
鼻先だけで感じたあのはかなくも甘いあの香り、あの誘惑に耐えるのは拷問です。

せめて、一口。
一口残してもらえないものだろうか…と、インターネットで続々とあがる賛辞を
読むほどに、
ぐぬぬと、己の行為を後悔するしかないのです。


神様、せめて一口。
神様!
      
 
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