
むかしむかし、あるところに。
おはらというネットバトルの大好きなあぷないお兄さんと
みずはという堅実で健全な非の打ち所のない立派な好青年がおりました。
ふたりは、日によってとても仲が良かったり、
あるいは生理的嫌悪感すら催しかねないほどに嫌いあったりしながら、
いつも生温かくいっしょに行動していました。
ある日、いつものように血に飢えたおはらが、みずはに相談を持ち掛けました。
「ねえねえ、みずはたん。ネットバトルしようよネットバトル!」
みずはは眉をひそめました。
「何を言ってるんだい、おはらん。ネットバトルって、交互にテキストをアップしてお互いを攻撃するアレだろう?
それは、何も知らないで見に来る一般の閲覧者に迷惑をかけたり不安にさせたりするから、そんなことしちゃいけないんだよ」
「大丈夫だよ、みずはたん! ぼくにいい考えがあるんだ。
かえる一号さんという人が最近、身体の調子が良くないらしくて、
健康を取り戻すまで静養している間、代打日記を募集しているんだ。
これを見逃す手はないよ!」
「どういう意味なんだい、おはらん?」
「相変わらず察しの悪い兄ちゃんだね」
「ほっとけ」
「だからね。ぼくたちが毎日、交互にバトルった代打日記をアップするんだ。
これならお互い、自分のサイトを巻き込まずにネットバトルが楽しめるよ!」
「うわぁ、おはらん。頭いいー(棒読み口調)」
「しかも、かえるさんはネットバトルが終わるまでの間、無制限にサイトを放置できるから、
日にちを気にせず静養できるんだ、一石二鳥だね!」
「でも、それって《ペンギン研究室》の一般閲覧者のことを忘れてるんじゃ……?」
「問題ないよ、みずはたん。代打期間中のメールや掲示板もぼくたちが管理しておけば、
かえるさんは何も気にせず、ゆっくり出来るって寸法さ!」
「うわぁ、さすがだよ。おはらん、ネットバトルになると気合が違うねー(棒読み口調)」
「よーし、じゃ早速実行だ! FTPのパスワードとか聞いとかないと」
「アップロードしてくれない可能性高いしね、実情知ったら。泣きながら首ぷるぷる振りそうだし。かえるさんなら」
「そこが萌えなんだよ! みずはたん!」
「ところでさー。絵、どうするの? 毎日掲載する代打日記には事前にかえるさんが絵を描いてつけてるんだよ」
「そんなの大丈夫さ。ぼくたちが自分で描けばいいじゃないか」
「みずはは絵なんか描けないよ」
「文字でいいんだよ!
ぶっとい筆で書いた習字みたいな字で《ゴルァ》とか書いた絵をデカデカと載せておけば迫力満点!
テキストサイトなんだから文字で勝負さ!」
「《ペンギン研究室》って、絵日記サイトじゃなかったっけ」
「テキストサイトだよ、ぼくらがそうするんだ。
ネットバトルの新たな可能性を皆に示すために、出来る限りのことをしようよ、みずはたん!」
「目の輝きが尋常じゃないよ、おはらん」
あとはもう、どうなってもしりません(地平線まで見はるかすほどの遠い目をしながら)
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