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昨年あたりから、全部読みきるのが勿体無いお話を書く方を見つけました。
あまりに突拍子も無く、かつ、日常の少し向こう側を淡々とかかれるので、
眠りに落ちる15分前だけに読むのが丁度良いお話だと思ったかえるです。
こんばんは。
お正月にもぐらに取材し、
1月8日に冬眠を開始し、
冬眠から目覚めたら、子供が倍に膨らんでいるのを発覚し、
驚けばよいものを、「湿気のせいだろうか」と言ってのけ、
夫がいるのに片思いの人がいて、それだけなら飽き足らず、愛人もいる。
でも、なんだか皆上手く立ち回っているというか、
ふわふわしたところで、ふわふわと生活しているせいで、
別段、怒る必要も困る必要もないまま毎日が過ぎている。
というお話を、風邪の間ずっと読んでいました。
もともと、一度読んでしまった本は、なんとなく覚えているため、
どきどきわくわく感がなくなってしまうのですが、
この本はそんな事がまったくありませんでした。
普通の本ならあるはずの話の筋が全く無く、
全く無いのもかかわらず、ゆるゆるとお話は展開し、
怒ったり困ったり、途方にくれたり、泣き出してしまったりということも無いまま、
ずるずるとお話は進むだけ進んでしまい、
ある日唐突に「紙が尽きたから」という理由だけで終わらせてしまったかのようなお話。
このお話を覚えようとして、丸暗記するまで読んだとしても、
夢を起きた先から忘れてしまうのと同じぐらい、するすると忘れてしまうに違いありません。
ぼんやりと考え事をしている最中から見る白昼夢のような、
何かを発見したとしても、言葉を発せずに、一人で静かに捕まえていたような、
そんな、静かで、気持ちよくて、仕方のないお話でした。
椰子・椰子
気持ち良いぐらい、わけが分からなくなりたいときには、
大層お勧めな本です。
それはもう、頭を抱えたくなるくらい、よく分からなくなります。
やしやし。
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