平成18年9月18日。
 
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朝晩の空気がうっとりすほど寝心地がよかったり、冬用のパジャマを引きずり出したり、
台風の影響で日中、気色が悪いほど眠たかったりするこの季節。
暇さえあれば、枕を抱えて家のあちこちで沈没するようになったかえるです。
こんばんは。

スイカと別れて、二十一世紀梨に浮気する。

そのうち、梨への魅力よりも、柿や栗にどうも引かれてたまらなくなる。
季節の変わり目さえも、果物で分かるこの時期、
お茶菓子の和菓子でさえも、一気に葛から栗、柿と材料が変わって行きます。

葛から麦、麦から柿、そうなったら冬が深まるまでは延々と栗づくしへ。

栗、美味しいから毎回でもいいかなぁとも思うのは最初のほうだけで、
栗きんとんや、栗こごりに幸せを感じるのは、最初だけ。

お饅頭にも羊羹にも、金つばにもはいりはじめたら最後、
周囲どの和菓子屋さんを見渡そうにも、栗入り、柿入り、プレーン無しの
恐ろしい状況が始まってしまうのです。

夏の間、葛で甘さ控えめさっぱりとはうって違い、
ふっかり、もっちり、甘さどかーんの三拍子の秋冬の和菓子なので、
お腹にたまることと、目で見てもあからさまの栗っぷりにげんなりとするほどなのです。

それにも関わらず、栗の金色にどうしようもない魅力を感じ、
「初物万歳」と、うっかり和菓子屋さんに行列を作ってしまう人というのは、
かえるを含め、毎年少なからずいるのです。
それはまったく同じ顔ぶれで。

チョコレートに似た、きれいな深い茶色の表面。
つやつやしているくせに、間違いなく固くて嫌がらせをするくせに、
丁寧にむいて、蒸した後、砂糖で炊いたり、絡めたり、いっそ、潰して形成しなおしても素敵。

日本の和栗なら、小さいのを炊いた後に炭火で一々焼いて懐紙で包んだ奴は、作った人に恋しますし、
向こうのねっちりとした栗なら、焼き栗、マロングラッセ、マロンシャンティはお約束、
テオブロマのマロンショコラは、マロンケーキにチョコレートかかっているんじゃ?
と疑問に思うほどの感動作品です。

毎日のお茶請けに向こうのマロングラッセ。
お茶の練習のときに、日本の栗。

栗物が出はじめた瞬間から、間違いなく体内栗分が増えているというにも関わらず、
毎日が幸せでたまらない栗生活。


世の中、ある程度は理屈や理性などで生きてはいけるのですが、
やはり、説明できない何かで生きていることもままあると思うのです。

ご飯食べなくても死んでしまいませんが、今、栗食べないと生きていけません。

ああ、同意してくれる人が行列を一緒に作っているおば様だけと知っていても、世の中、幸せです。

感涙。
      
 
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