平成18年9月30日。
 
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壁抜け男のお芝居内にて、「平凡だけど、それが僕の人生」と歌われてしまいましたが、
壁を抜けられる段階で、どこからどう考えてもそれは平凡な人生では無い気がしてたまりません。
見に行ってから1週間、暇さえあれば反芻してしまうかえるです。
平凡違う…。


無難、平凡、世の中の半数以上が辿るであろう人生の模範解答。

理想的な平均的人生という日々から、ついうっかり波乱万丈一寸先は闇どころか落とし穴
という人生に鞍替えしてしまった日、というのが、かえるにはあります。

今だに思い出すと情けなく、盲目的に言葉を額面通りに受け取るといけないのだなぁと
反省してもしたりない日というのが、大好きでたまらないハロウィンの日だったりするのです。


人間、許容量以上の現実には全力で拒絶や拒否を行います。
時には、それにまつわる出来事や感覚すべて忘れる事だって可能です。


あの日が雨だったことや、ハロウィンのオレンジと黒のトルコ飴が甘くて堪らなかった事や、
悟られてしまうと、根掘り葉掘り聞かれてもっと悲しくなるから顔に出さないように努めた事。

ハロウィン自体がシナモンの香りがする楽しいお祭りであったこと自体、思い出さないように、
迂闊にお祭りを楽しんだら、どこかから生えてくるのではないか? 
そんな恐怖から、出来るだけ思い出さないようにして数年。

どんなに忘れようとしても、結局は思い出してはうっとりとしょんぼりを繰り返すうち、
「もう、楽しんでも良いのでは?」と凹むのを諦めてしまいました。

確かに日時は一緒かもしれませんが、人生の転機なんて後から振り返れば幾らでもおちてます。
好きだったお祭りを諦めるぐらいなら、凹んだことを諦めて毎年楽しんだ方が、
後の人生なんぼか楽しそうです。


そんなわけで、9月の中盤あたりからは町がオレンジ色になるのにうっとりし、
オレンジ色と黒の顔が付いている物は、容赦なく捕獲して家中に配置、
期間中、一度はかぼちゃイベントに顔をだすという素敵な期間に様変わりしました。

人間、どれだけ酷い目に逢おうとも、マイナスよりもプラスのほうが好きだという
良い見本のような改善ぷりですが、これが結構楽しいものでお気に入りなのです。

かぼちゃペーストに恋をし、
うちのちいさいかえる(複数)におそろいのマントを着せては悦に入り、
今年はかぼちゃのマスクを縫おうかと小銭を数える。

こうやって書き連ねるだけでも楽しくてたまりません。
いや、何年分の損だけで本当によかった。

などと、幸せいっぱいで外出していた先にて、もっと素敵になれるものを見つけました。

手のひらで収まるぐらいの黒いもの。
金具で何かから吊り下げるようになっており、中身は空洞。
目は、死んだ魚のように素敵にうつろながら、やっちゃった感あふれる素敵なおめめ。

早朝、開店前のお店にての発見の為、発見から1時間後の回収でしたが、
ここ数年稀にみる素敵ハロウィン、吸血鬼の陶器。

帰宅後、さっそく吊るしては悦に入り、
毎日にまにまと眺めながら製作者に感謝の念を送る。

人間、嫌いなものを克服するのは結構な根性と共にできうる事象の一つかもしれませんが、
好きでたまらないものを、なかった事にするのは相当な根性でも出来にくいことみたいです。

人生、案の定素敵。
      
 
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