平成19年3月11日。
 
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温かいを通り越して、暴力だと思うほどの日差しの下。
しぶしぶであっても、日傘を差して歩かざるをえなくなったのは、
大型連休初日の、それは良い天気のお昼間でした。
相変わらず、日付が前後しながら生きているかえるです。
こんばんは。

豪雨の残りから逃れるかのように入ったお店は、朝の日差しのような明るさでした。

白い壁に白い天井。
そんな、ふんわりとした部屋一杯に広がるのは、多種多様を通り越して
明日をより幸せにしてくれるものばかり。


程よい空調と、程よい光というのは、本当に気持ちが良いものだ。
と、毎回めろめろしながら寄らせていただいているお店なのですが、
今回、ふらりと入ってみたところ、入り口にて小さな個展が展開されていました。

ガラスで出来た花のつぼみに、ほの白いちろり、白夜をテーマにしたペンダントトップに、
金魚。


ガラスとは思えないほど白くて丸く、なんともいえない色っぽさの器達に、
ぽつんと浮かび上がる金魚というのは、非常に綺麗なものです。

大きい鉢も、小さいはちも、いっそお酒をいただきたくなるような手のひらに収まるような
小さな小さな盃にだって、金魚。


ちろりに至っては、他の器では泳いでいなかった黒い出目金だって泳いでいます。



お昼ごはんで美味しくワインを戴き、美味しかったと酔っぱらいの後。
そろそろ、夏のお素麺皿を出さないとと考えていた、まさにその矢先。

丁度目の前で、「これに大きい氷と汁をいれ、戴いたらさぞかし映えるに違いない」と
それでも確信できる白に赤い金魚が一匹。

けれども、流石に欲しいものを即日手に入れてしまうほど、かえるの根性はありません。


「今日は酔っ払いだから、後日考える。」

と、寝て起きたら忘れそうな言い訳と共に、作家の方に名刺を無理やり戴き、
意気揚々と帰宅したのが数日前。


ここまでは、いつもの事だったんです。
欲しいけど、手に入れてしまうほどかえるは偉いのか? というしょうも無いことを、
ねちねちと考えてはのた打ち回り、後日そーっと再度見惚れに行くというのは、
本当にいつものことだったんです。



けれども、まさか金魚が夢に出てくるとは思いませんでした。


ふうわりとした白に、そこへと溶けるかのような赤い金魚。
手のひらに程よく収まる大きさと丸い形。
持たせていただいたときの、ひんやりとした感触。


立派な恋です。
朝、起きてから悶え苦しめるほどの恋でした。


相手が無機物である以上、手に入れてしまえば成就する恋なのですが、
ここまでほれ込んでいるにもかかわらず、困っていることが唯一つ。


大型連休でも、それでも外出できないほど忙しい。


現実日付で4月30日までの鈴木 知子、「tsubomi no katawara」展。
本日、5月2日で、かつ来週の週明けまで本当に遣ること山積です。



いっそ、全てが片付いたら工房にお邪魔できないか…? と、サイトを見つつ
うっとりと見つめる毎日です。


ただ、生きていく上ではあまり必要ではないもの。
けれども、彩りを添えるという意味では必要不可欠なもの。

人それぞれ「それ」は違うものですが、かえるはここで、出会いすぎです。


ああ、可愛い。
      
 
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