平成25年10月6日。
 
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10月1週。

読書の秋と相成りました。

暇されあれば何か読んでいる生活ですが、秋はやはり読書です。
体を動かす方も、食欲を満たす方も、睡眠を満たす方も大変よろしいですが、
毎日30分程生活を早じまいして、布団の中で本を読むのが大変楽しい季節となりました。


そんな幸せに浸りつつ、毎晩毎晩何かしら読んでおります。
「オズの魔法使い(シリーズ)」から始まり、「シャーロック・ホームズ(シリーズ)」を読み直し、
うっかり見始めた「ドラマ:名探偵ポワロ」の影響で、とうとうアガサ・クリスティーにも手を出し始めました。


20世紀の初め頃の「馬車やっほーい!シルクハットやっほーい!」作品とは異なり、
戦勝国による華やかな「シルクのドレスやったー!赤い口紅いやっほーい!」の世界で起こる、
怨恨の渦巻きすぎた殺人事件、でっち上げもあるよ!を、完全部外者のポワロが鮮やかに解決する様は、
何度読み直してもたまりません。


夜寝る前の壮大なお楽しみ。
ぺらぺらとめくっていると古い本独特の香りとあいまって、だんだんと眠たくなるのも秋の醍醐味です。


秋とは何て素晴らしいのでしょう。


しかし、なんといってドラマから入った「名探偵ポワロ(シリーズ)」です。
どうしても、話し方や話の運び方はドラマの癖を引きずり、脳内で様々に補完していきます。


端的に申し述べますと、
「ポワロの外見や名声にケチをつけた人は、殺害・犯人・および冤罪に巻き込まれる。」という偏見です。


今までの読書の経験上、ホームズは犯人の動機・行動さえ分かっていれば後はどうでもよく、
アルセーヌ・ルパンはお嬢さんさえ救えれば、費用・犯罪・名声の有無はどうでもいいのですが、
ポワロだけはどうもよくありません。

しょっちゅう騙されておりますが、決してそれを忘れません。
犯人が忘れた頃に10倍にして返しております。

重ね重ね、いろいろ読んだ中で最も執念深い名探偵です。
あれはあかん。

その執念深さに魅惑され、毎晩読んだ上に、昼間も暇な時間を見つけては延々と読みこんでいる為、
彼はだんだんとかえるの頭の中で生活をはじめていきました。

かえるの中で、彼は実際にイギリスのいいマンションでぼんやりと美食に浸りつつ生活してます。
多分税金だって、年金だって払っております。

そんな中での、

「今何読んでいるんですかー?」
「名探偵ポワロです。」
「ポワロって何です?」

という現実世界による一連の会話が、かえるにとっていかに恐ろしい状況、いかに恐ろしい会話であったか?は、
想像するにはさほど難しいものではないと思うのです。


毎朝几帳面に卵を割り、丁寧に髭を手入れし、やや強迫性じみた執念で全てを整理し、
犯人を追っている最中であろうとも、食事だけは欠かさないあの小柄でぴかぴかの靴をはいたベルギー人。

彼に、あの彼に万が一この会話は聞かれたら一大事です。


殺されます。
冤罪ならまだしも、犯人に仕立て上げられます。


人と言うのはどこに地雷があるかわかりません。
どこに耳がありどのように影響を及ぼすかなどは、神にしか分からぬ所業なのです。


「彼はとある名探偵である。」


そう気づくまでの一瞬、心底肝を冷やし「この人、きっと死ぬ!」と思う程の読書の秋は
本当にすごいものである。


しみじみと本の影響力に感動した一幕でした。





脱兎!
      
 
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