平成26年1月26日。
 
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1月4週

つまり、バーゲンです。

年が明けた時からそこここで開始され、日をまたぐごとに割引率がアップしていくバーゲン。
出かけた先で、毎朝チェックするメールで、いい時間で配信される携帯メールで、
最終バーゲンであることを告知される時期に、なりました。

つまり、手の届かなかったものが、つま先立ちで届くようになり、
気に入ったものを、もう一つ二つと保存買いできる季節となったのです。

昔であれば、「いやー!すてきー!」と色とりどりのバーゲン品を買い求めては、
帰宅後や半年後に「…これ、どうやって着るのだろうか?」と愕然としておりましたが、
こちらもだんだんと経験を積んできました。

かえる、多分着飾るのは得意じゃない。

年中変わらない格好(絵)をしておりますが、かえるだって人間社会の構成員です。
季節が移ろえば、その時々にあった格好のふりをいたしますし、
突き抜けて素晴らしい物を見れば「似合わないけど、ほしい…」とうっとりする事もあります。

しかし、服というもは「着て、動いて」こそ服です。
見てうっとりしている時には、大体脳の中で「これを着たら、こんなに素敵になるかもしれない」等
都合のよい妄想を抱いている時が多目です。

その妄想を踏み倒し、現実の己を知って幻滅、もしくは努力でそれを乗り越えてからが勝負開始。
自分と洋服との戦いの成果が、「着飾る」なのです。
服さえあれば、どうにかなるものではありません。

これが現実です。

自分の体型にそこそこ合うものを、適量買っては着回しのサイクルを作っていく。
そう決めているはずのなのに、それでも、バーゲンに耐えがたい魅惑を感じてしまうのは、
バーゲン自体が持つ魅惑ではないかと思うのです。

そもそも、バーゲンです。

それまで存在していた「ここから先は手が届かない」という静かな憧れが、
いきなり手を伸ばしたら届く存在になります。

見るだけで格の違うあの艶やかさ、柔らかさ、魅惑的なフォルムが何と身近な存在に!
元々素材も素敵なので、手入れ次第では何年も持つ「自分定番洋服に!」

魅惑です。
身もだえです。

徹夜明けのこの疲れ、この1本で無かった事に!どころか、今後何年も穏やかな健康をお約束!
並の魅惑的な行為です。
冷静に考えたら「すっごく胡散臭い」と思えますが、目の前でひらひらされていくと我を忘れます。

もう、魅力しか感じません。

触れば触るほど、魅力を感じていくカシミアの柔らかさ。
強い照明の下でも、艶やかさを主張してならないシルクの華やかな艶。

楽しげな音楽と「サイズ、あるのだけですよ〜」の店員さんの静かな圧力の下では、
自我の「後で痛い目あうんじゃないかなー?」の控え目な提案などけし飛びます。

ほどほどの反対があればあるほど、そして次の機会がなさそうであればあるほど、
恋は燃え上がり、後でげっそりするものなのです。


つまり、バーゲン=白馬の王子様(妄想用)なのです。


現実の育ちの違いや、白馬のメンテナンス代、成長したら王子様おっさんになる危険性。
そんなものは、最初から考慮に入っておりません。

育ちと外見だけを武器に、その瞬間だけで攻略に入ってくるバーゲンの王子。


多分、その中でようやく見つける、長年つきあえる自分だけの特別なおっさん。
そういうのがほしくて、延々探してしまうのではないか?


と、今日もひっそりバーゲンをちらちら見ている生活です。



ほしい!
      
 
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